ドーン・オブ・ザ・デッド 息の詰まる様な迫力ある演出

サラ・ポーリーが磨りガラス越しに男とまぐわってるのを、映画館で見た時は「家帰ったらぜったい『バロン』見よう!」と強く心に思ったものでしたが、

俊英監督ザック・スナイダーの打ち出す「昔の恋人なんか忘れさせてやるぜ!」と言わんばかりの映像テクニック四拾八手にはオリジナルの「ゾンビ」への敬意を存分に感じさせつつも、もう、くらくらの、めろめろでしたよ。気が付いたらロメロ版よりもDVDを繰り返し見てました。

血液の拡大映像から人体全身の不吉な感染イメージとモンタージュされるかの様に、遥か俯瞰から捉えた都市構造が同時多発的かつ、連鎖しながら瞬く間に瓦解していく様を見せてくれるというのは一歩早かった「28日後…」が到達出来なかった直接的で優れた世界崩壊シーンになっていると思う。

細胞の一つが腐り、一人から集団へ、交通と都市機能の麻痺、情報の混乱、統制の取れなくなった国家、かくて呆気ない終末の文句の言えない解りやすさ。

行き場の無い人間たちの楽しいサバイバルと、万物の霊長に無自覚に君臨したゾンビたちの楽園は、双方にとっても自由な世界。

息の詰まる様な迫力ある演出を堪能しながら、こういう世界の到来を私は渇望してしまうのでした。

本家「ランド・オブ・ザ・デッド」では視点がゾンビの方に遥か追い抜いて行ってしまったので、現時点でのロメロゾンビ・シャングリラ映画最高作かも知んないです。

エンドロールでは途中途中でその後が映されていますので、終わった瞬間に切らないようにお気をつけくださいませ。