ゾンビ・ファンタジーという新たなジャンルを作りだした映画。下らないかと思ってみたけれど、とても可愛い映画だった。
放射能の影響で死んだ人間は全員ゾンビになってしまう世界。でもご安心を!とある博士が開発した首輪をつければ、ゾンビは人を食べたい欲求を抑えられるのです!人肉を欲しないゾンビは使用人としてお使い下さい。ゾンビを何人雇えるか、それが社会的ステータスとなるのです!
この映画のいいところは、設定はそれほど凝ったものではないけれど、物語の舞台を60年代のアメリカ風にしているところ。それによって、色彩がとても鮮やかで、ゾンビが家にいるという異常な光景がとてもポップに見えてくる。とにかく可愛い。
とは言っても、やっぱりゾンビ映画なので、かなりブラックな内容にはなっている。天使のような顔をした主人公の少年が、ゾンビ化した隣人をスコップで殴り殺したり、主人公の母親がゾンビ化した息子の友だちを撃ち殺したり。でも、残酷な殺戮シーンを直接的には描いていないので、ブラックではあるけれども、グロではない。あくまでもファンタジー。
使用人・ファイドに心を寄せ始めた主人公の母親が、「あなたが死ぬ前にあなたに会いたかった」と言うシーンは本当に切なくなる。自分も、出会えるはずの人と出会えずに終わっていくのかなと、何だか悲しくなった。ずっと一緒にいたい人は、ゾンビ化してもずっと一緒にいて欲しい。
頭の中を空っぽにして素直に見ていただきたい作品。
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