ドイツの高校。1週間の特別授業が始まった。ベンガーが担当するのは「独裁」。ベンガーは生徒たちに独裁がどういうものかを理解させるために、自分を「ベンガー様」と呼ばせ、規律を作り、全員に同じ服を着させる。最初はいやいや従っていた生徒たちは、次第に組織の一体感に高揚し始め、組織に属さないものを排除し始める・・・。
実際にアメリカの高校であった事件をもとにしているそうで。しかし、この映画がドイツで作られているというところに意味がある。【ナチス】という経験から、本来は独裁に対して嫌悪感を抱いているはずのドイツ人。
そのドイツ人たちがたった1週間の授業で独裁にまたどっぷりと浸かってしまう様相を描いているところに、独裁に対する強い反省と恐怖心が感じられる。
実話をもとにしているとは言え、物語のラストはオリジナル。そして、そのラストがちょっと極端というか、リアリティに欠けてしまう感が否めない。何より、指導者の役割を果たしているベンガーにそれほど魅力を感じられないので、生徒たちが「ウェイヴ」にあっさりと自己同一化していく過程に違和感を覚えてしまう。
恐らく、日本人にとっては、
・席は自分で自由に決められない。
・発言する際は立ち上がる。
・制服を着る。
ということが至極当たり前のことだからだろう。
日本の高校では当たり前に行われていることが、ドイツの高校では全然当たり前ではない。出発点が違うから独裁に荷担していくプロセスの出発点もまた、感覚として異なるんだろう。
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