エヴァがある朝起きると、家の壁にも愛車にも真っ赤なペンキがぶちまけられていた。しかし、エヴァはこれに怒ることも悲しむこともない。なぜなら、エヴァの息子ケヴィンは最低最悪の事件を起こした犯人だから。いきなり見知らぬ女性に頬を引っぱたかれても仕方がない。なぜなら、ケヴィンを生んだのはエヴァだから。幼い頃からケヴィンはエヴァに懐くことがなかった。嫌がらせのように粗相をし、しかし夫のフランクリンには懐いている。ケヴィンが成長してもその関係は変わらない。そして、ある日突然、ケヴィンは事件を起こした・・・。
この映画は女が子どもを生むことを描いている。何が生まれるのか、生まれてきたものが自分をどう思い、そして、どう世間で行動していくのか、まったく分からない。それなのに縁が切れることはない。エヴァは、おそらく出所したケヴィンと二人で暮らし、ケヴィンからの〈悪意〉を受けながらも、永遠に離れられないだろう。「ローズマリーの赤ちゃん」をもっと現実的に捉えたその続編、というところだろうか。
何よりもケヴィン役を演じたエズラ・ミラーが魅力的。憎たらしいんだけれども妖しい魅力にあふれていて目が離せない。何よりも声がいい。まだ幼い顔には似合わない渋い大人の声で、ケヴィンという大人でも子どもでもない得体の知れない存在にピッタリだ。
個人的な見解になるが、ケヴィンは母親と離れたくなくて事件を起こしたのだろう。実際、事件によってケヴィンはエヴァと二人きりになった。二人は今後、世間から隔絶され、たった二人で生きていくことになる。子を産むこととは何と恐ろしいことか!
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