湾岸地区の哀愁みたいなのがキッカケになって、あとは同監督の『回路』とか『CURE』と同じような展開になっていく感じでした。“蔓延”していく感じとかが。
『回路』とくらべて幽霊の描写にかなり攻めの姿勢で挑んでいる印象を受けました。極力人間と大差なく映されているんですけど、飛んだりとかもするっていう。「いろいろやってみようや!」っていう感じだったのかな。
伊原剛志のくだりもそういう姿勢の現れのひとつかなと思うんですけど、個人的にはあれはドラゴンボールへのオマージュなんだと勝手に思っています。後ろをみたらいなくて、「しまった!上かッ!」ってやつ。あれを幽霊でやってみたということなんじゃないかと。
話がそんなにおもしろいわけではないし、際立っていいショットがあるという印象もそんなになかったんですけど、なぜか最後まで食い入るように観てしまいました。
でも、コニタンのラストカットを観てから振り返ってみると意外と興味深い話だったりもするし、あとは「役所広司が関わった死体は本当はどれ?」っていう、一発で「本当はお前が赤い女を殺したんだろ」っていうオチに至れる経路になってなくて良かったです。そもそも「本物の赤い女は誰?」っていうのがありますし。
そういうのがあるから最後まで飽きずに観られたというのはあるかも分かりません。
この監督はいい加減役所広司ばかりなのでうんざりもするのですが、他の作品を観たくなってしまうのでやっぱり黒沢清監督はスゴイなあと思ってしまいますね
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