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丑三つの村 かつての日本の現実

昭和10年代の小さな農村。継男は、村始まって以来の天才との声も名高い青年だった。しかし、肺結核に感染したことで徴兵検査に落ち、そこから村八分にされるようになる。継男は次第に村人たちを憎むようになり…。

言うまでもなく、津山三十人殺しを題材にした映画。津山三十人殺しについてはそれほど詳しくないけれど、かなり忠実に再現しているのではないか。

現実の事件が、この映画のような思想性を持った事件だかわからないが、この映画では、主人公の集団殺戮が、古い風習だけを守るような血縁同士でできた集落への反逆って描かれ方をしてるので、わりと主人公に共感できるようなつくりになってる。

村八分、夜這いと、今ではなかったことのようにされているかつての日本の現実が、ここにはしっかりと描かれている。兵隊になれないことが如何に男として不名誉なことかも、よく分かる。歴史的な意味合いからも、見ておくべき映画。しかし、音楽がひどい。何で?何でここでこの音楽?と言いたくなるシーンが多々。特にラストの一番盛り上がっているところで、何でこんな間抜けな音楽?と残念でならない。音楽担当を見たら笹路正徳。スピッツのプロデュースしてた人じゃないの。え〜。

古尾谷雅人、すごく好きな俳優だった。もういないんだと思うと寂しくなる。生卵を飲んだり、ヤギの乳首から直接乳を飲んだり、この映画の撮影は大変だったろう。実直で不器用な青年が、時代によって歪められていき犯行に至る、その経緯が古尾谷雅人の真っ直ぐなまなざしによってよく表れていた。