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BUG/バグ 心意気のシブい映画

内容は、分裂症の男の妄想がどんどんシャレにならない事になっていって、子供を失って別れた夫のDVにも悩まされている不安定な女もその妄想にどんどんハマっていって…という、割とよくありそうな感じです。

登場人物が極端に少ない(第三者的空間が無いので説明が無い)ので、結局何が本当だったかは分からない作りになっているんです。雰囲気的には「オチは『結局妄想だった』んですよー」なんですけど、ひょっとしたらそうじゃないかもしれない。男の言ってた事は本当だったかも分からない。その線も3%ぐらい残して終わっといたのがシブかったですね。

内容自体とか、妄想ネタで『ていうか真実って何?』ってとこまでテーマを広げるぐらいだったら、私ぐらいのレベルの素人がやる自主映画と同じなんですけど、やっぱりウィリアム・フリードキン監督の演出は凄かったですね。リアルの映画はスゴイと思いました。

俳優の演技とかも妄想ネタなだけに超絶でした。

映画の内容やクオリティ自体よりもそういう作り手側の「かましてやる」という意気込みみたいなのに惹かれる作品でした。

特に監督(『エクソシスト』の監督)の「巨匠ナメんなオラァ」みたいな感じが漂っていました。

それが鼻につく人も、「コレやりすぎだろ」と冷めてしまって笑ってしまう人もいるかも分かりませんが、個人的にはグッときました。

本当に笑うかヘコむかのギリギリの境界を攻めた映画じゃないでしょうかね。

内容は重いし暗いですけど、心意気のシブい映画だったと思います。