私がもし、「映画というイデオロギーに真っ向から喧嘩を売った作品は何か?」と問われたならば、一つにウォルト・ディズニーによる1940年作の映画「ファンタジア」を挙げる。
そしてもう一つに挙げるのが、本作「死霊の盆踊り」である。
本作には、基本的にストーリーが存在しない。この点で他の映画とはまったく異なる点であるが、結果的にそうなったのではなく、監督、脚本家の意向でなるべくしてこうなったというのは注視すべき点だ。
ストーリーがある映画ともなれば当然登場人物を割り当てるために、ある程度の技術のある俳優を起用せねばならないが、この映画にストーリーはないため、基本的に役者は出演していない。
勿論映画である以上オーディションは経ているため、質は高い。
しかし、それはあくまでストリッパーとしての質である。
一応この映画の主人公はある男女のカップルなのだが、主役を演じている女性の大根役者ぶりは酷い。
特に悲鳴をあげるシーンは——余談だが私はいかなる映像作品においても、悲鳴、ことに女性の悲鳴の巧拙にはうるさいのだが——誰が聞いても「ぴゃー」なのだ。
これほど間抜けな悲鳴が、一応ホラー映画であるにもかかわらず、修正されないという点は酷い。
また、監督の意向で起用した男性俳優も酷い。
演技が大根であることもさることながら、カンニングボードなしに演技ができないという痴呆っぷりである。
どうも他の映画に出演しているのを見て採用したようだが、なぜ碌に台本を覚えられない俳優を好き好んで起用せねばならないのか理解に苦しむ。
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