CUBE 決死の脱出行

奇才・ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の代表作。

謎の立方体に閉じ込められた人々の決死の脱出行を描いています。

この映画が登場した当時、かなりのセンセーションを巻き起こして、それこそレンタルビデオ屋の棚に、本作とは何の関係もないパチモノの「なんとかCUBE」がたくさん並んだものです。

「デスキューブ」とか、色々と何本か観ましたが、当然のことながらオリジナルの本作を超えるものなんて一作もなかったですねえ。

正式な続編「CUBE2」「CUBE ZERO」も、ナタリ監督じゃないからなのか、まったく完成度が低い、残念な出来でした。

この映画は名作の誉も高い、ファンの多いスリラーですが、かなりの低予算で作られています。

舞台は立方体の部屋の中だけ。壁の色を変えて、多数の部屋があるように工夫して見せているんですね。

登場人物も10人にも満たしません。無名の(だけど巧い)俳優さんたちを使っています。

予算がなくてもこれだけ面白い映画が撮れるということを証明してみせたと言えるでしょう。

立方体の部屋には侵入者を殺すための様々なトラップが設置されており、特に冒頭のホラー映画顔負けの切り株描写は鮮烈で、完全に掴みはオッケー!って感じで映画にはいってゆけます。

しかし、「CUBE」の本題は決してホラーではなくて、極限状態における人の心の変化や不条理なキューブの存在意義にあると思います。

そのあたりが薄味になってしまった続編も、どうせ作るなら本来のテーマに沿って製作してほしかったかな。

黒幕の存在なんて、「CUBE」という映画に限っては、どう料理しても陳腐な味にしかならないですから。