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悪の教典 豪快であり奇天烈な怪作

一番良かったのは、殺される人が二時間サスペンスみたいに死ぬ前にグダグダしゃべったりしないところ。

怖がって、撃たれて、吹っ飛んで、オシマイ。

経験したことは勿論ないけど、実際に殺人鬼を前にしたら、あんな感じじゃないのかな。

ハスミンの殺し自体がめっぽう雑なんだけど、実際にアメリカでは殺人鬼だってパレて居られなくなったわけだし、けっこう本人も適当にやっているんだと思われる節がある。

つまり、頭がいいのは確かなんだけど、殺人については単なる病気なんじゃないかと理解した。

別に殺さなくても生きてゆけるんだろうと思う。本人が劇中で、自分は快楽殺人者ではないと言っているし。

ただ、自分の理想を邪魔する輩が現れると、殺して消し去ってしまうこと以外に思いつかない、ある種、可哀そうな人なんでは?

究極の社会生活不適合者。ものすごく迷惑な人。そんな感じ。

ハスミンの理想が、美少女を自分のクラスに集めて学校を我がものにしようという、実に俗っぽい理想で、それもまた良いなあ。

粗を探せば、あんな夜に街中の学校で散弾銃撃ちまくっていたら通報されるだろう、とか色々あるけど(苦笑)、それも含めて、久しぶりに邦画で豪快であり奇天烈な怪作が生まれてうれしいですな。

伊藤英明は、人を助けるレスキューよりも、人を殺し続ける役を活き活きと演じておりますね。

虐殺モードに入ったハスミンの、黒目が大きく見える、感情の無いサメのような目を、コンタクトレンズとかでなく自身の演技で表現しているらしく、なかなかに鬼気迫るものを感じたなあ。