死霊館 テンポの良さと演出の妙

「ソウ」の監督であり、「ワイルドスピード」の次回作にも抜擢されたジェームズ・ワンが監督したオカルトホラー。

実在する心霊研究家の夫妻が主人公の実話ものです。

夫のエド役のパトリック・ウィルソンは「ウォッチメン」のナイトオウル二世役でしたが、髪型が違うからか、だいぶ細身に見えたのは気のせいでしょうか。

作品の雰囲気としては、昨今のホラー映画とは一線をがして、じわりじわりと恐怖感をあおってゆくタイプの、いわゆる日本型ホラーの様相を呈しています。

そのため、中盤までは意外と地味目。だけれども、テンポの良さと演出の妙で退屈には感じさせないのは流石です。

肝心の「怖さ」ですが、クライマックスは「エクソシスト」や「ポルターガイスト」ばりに派手に悪霊が暴れるわけですが、正直いうと冒頭のアナベル人形事件が一番怖かったですね。

夫妻の娘が襲われる時の、「闇が襲いかかって来るイメージ」も素晴らしかったですが、それほど恐ろしいホラー映画という感じは受けませんでした。このあたりの感覚は個人差が激しいかとは思いますが・・・。

ジェームズ・ワンがこだわった「見せ方」と「音」は、どちらも映画の質の向上に貢献していると思います。

恐怖の対象を極力見せない中盤までなどは、ゾンビや殺人鬼ものと違った、オカルトならではの恐怖感の煽り方だと言えるでしょう。

また、特に「音」によるショック演出は本当に冴えていて、それなりの音響システムを組んだホームシアターでなら相当の迫力が得られます。