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ピラニア 新境地にいってしまった感が強い

『ジョーズ』の大ヒットにあやかってつくられたものの本家にも劣らないクオリティの『ピラニア』。それを『ヒルズ・ハブ・アイズ』でも魅せたように飛躍的にスケールアップさせ、オリジナル以上の下劣な痛快娯楽作にアレクサンドル・アジャがまたもやリメイク。

フランス時代から今まで一緒に共同脚本をしていたグレゴリー・ルヴァスールが製作にまわったからなのか、それとも撮影がマキシム・アレクサンドルじゃなくなったからなのか、これまでの作品以上にはっちゃけており、てんやわんやなのは祭りそのもの。前述した2人とも、良い作品を作ってきたが、今回ばかりは人が変わって成功したといって良いほどに突き抜けており、エロ、死傷者、出血量、死に様などが大幅にパワーアップしているのでネクストレベルというより新境地にいってしまった感が強い。

そんなパワフルな演出や設定に加え、ルー・リードやレディオヘッドのポスターを部屋に飾っているピクシーズのTシャツを着た青年が主役なのもたまらない。

そんな青年とは対称的な、LMFAOとかを聞きながら踊り狂っている奴らが死んでいくのは愉快なのだが、文化系少年の主人公もエロいことは大好きで親の目を盗んで濡れ濡れTシャツパーティーを見に行くあたりが、体育会系に強烈なコンプレックスがあるにもかかわらず憧憬を抱いている自分にはシンパシーを感じてしまう。そういった点でもただのパニックホラーに成り下がらず、どこか他人事ではないこの映画は、私の夢でもあり人生の教訓でもある、大事な一本である。