タイトルのイメージから、公衆電話に並んでいたゾマホンが割り込んできた松野明美と口論になり、なりゆきでラブホテルに行くが、がっつく松野明美に対してゾマホンは不本意でそれが原因でまたもや口論になり、それならメシを食いに行こうということになるが行きたくないゾマホンに対してなんでも食べたい松野明美が逆上して路上でゾマホンがいやらしい意味で食べられるという、ピンク映画と思っていたのだけど、直球のフレンチホラーでありスラッシャームービーだった。
ボロ車に追いかけられるカーチェイスやチェーンソーを手にした異常者など、『激突』『悪魔のいけにえ』といった往年のホラーでよく見られるシチュエーションが多々あるし、だいたいどのホラー映画でも見たことがあるようなパターンにもかかわらず緊張感が持続しているのは、アレクサンドル・アジャ監督の演出力の巧みさ故だろう。ホラーが好きで好きでしょうがない監督さんが過去の名作への敬意と愛情をいっぱい注いで撮った1本って感じで、血の量は申し分なし。
その演出に100%の力で応えた主演のセシル・ドゥ・フランス、ヴィスコンティや『サンゲリア』などのルチオ・フルチ作品で特殊メイクをしていたジャンネット・デ・ロッシなど誰もが素晴らしい仕事をしている。賛否両論のトリックを含め個人的にはアリだし、アジャ監督を追い続けるきっかけになった思い入れのある作品。見て損はない、シュッとまとまった快作です。
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