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フライトナイト お化け屋敷のような作品

誰でも隣人が怖いと感じたことは一度ぐらいはあるのではないでしょうか。謎の殺人事件が多発しているときに突然、隣に引っ越して来られたらなおのことでしょう。前までどこに住んでいたのだろう、仕事は何をしているのだろう、どうして綺麗な女性ばかり家に招くのだろう、不審感と興味を抱き、窓越しに覗いていると、なんと!隣の住民はヴァンパイアだったのです。

というのが大まかなストーリーになるが、確かにご近所さんを怖く感じることはある。まったくの赤の他人なら次に会うことも可能性が薄いが、近所の人とは付き合いもあるので粗相のないようにしないといけない。ましてや隣人ともなるとさらに気を使わないといけないことになる。引っ越した先で、つまらないものと言ってお近づきの印を渡すこともその一因だろう。劇中でもそんな心理戦を行うのかといえばまったくそんなことをするはずもなく(この風習は日本独自のものかな)寧ろヴァンパイア家は、俺たちに構うなオーラ全開で近所付き合いなんて眼中にない。そんな隣人に対して好奇心旺盛な生真面目少年が嗅ぎ回っている内にいざこざに巻き込まれていく。

このように、普通の青年が予期せぬ出来事に巻き込まれ、数少ない知人や恋人、頼りないけどその道のエキスパートと組んで、巨大な敵と対峙する、という少年マンガのようなプロットを、ホラーらしく張り詰めた緊張感で描きながら、それらを笑いで覆いかぶせた、ホラーコメディになっている。リアリティーを排除し、恐がらせることだけに特化した見世物小屋のスタンスを大事にしたお化け屋敷のような作品だ。