ハロウィン 神秘性すら感じる魅惑の一品

『13日の金曜日』や『エルム街の悪夢』よりも前に作られた元祖スラッシャームービー。

30万ドルの製作費で5000万ドルの興行収入を得た低予算映画の鑑と形容したくなるけど、それは単なる話題性だけじゃなくきちんと裏打ちされた製作サイドの腕によるところが大きいのではないだろうか。

ハロウィンを代表するテーマ曲は常に不安を煽り、そのテーマ曲が流れるだけでこれから嫌なことが起きるのだな、と身構えることになる。これはブギーマンが出てくるよー、といった謂わば入場曲の役割も担っている。誰かプロレスラーでこのテーマ曲で入場してくれる人はいないのか。これを聞くだけで相手の戦意を喪失させるだけの力はあると思うのだが。

そんなブギーマンに追い詰められるローリー扮するジェイミー・リー・カーティスの狂気じみた演技が不穏な世界に花を添える。さすがにスクリーム・クイーンと呼ばれていただけあって絶叫のシーンはこの映画のハイライトのひとつとなっている。またこの人の体つきがエロくてその点でも好感がもてる。

オリジナルの前にロブ・ゾンビのリメイクを先に見てしまったこともありそのあまりの方向性の違いに若干戸惑いを感じた。ゾンビのはちゃめちゃ血塗れ惨殺ムービーも捨てがたいが、やはりカーペンターのハロウィンはクラシックと呼べるほどの完成度だった。

ゾンビ版ではまったく見てとれなかった常時つきまとう不穏な空気間、ブギーマンのこの世のものではない超越した存在、と神秘性すら感じる魅惑の一品に仕上がっている。