ジョン・カーペンター版の前日譚ということもあり、結末を知っているが故の焦燥感、終わりからの始まりの繋ぎ方など、うまく撮ってるなぁと思うことや、飛来してきた宇宙船、壊滅していく基地、エイリアンの造形など限られた設定を尊重して作っているのでカーペンターの世界観を損なわずに愛情も多分に感じるが、愛以上に感じるものがない。こっちは、愛されるよりも愛したいんですよ、マジで!
誰が乗り移られているかわからない疑心暗鬼からの恐怖や、従来のモンスターパニックみたいに追い詰められ戦慄する演出と違い、隣にいるだけで違和感があり、犯人探しをする様はまるで金田一少年の事件簿のような緊張感があったカーペンター版とは違い、至って普通な追従型モンスターホラーに成り下がっているのが残念でならない。ここは「カーペンターっちゃんの名にかけて!」と気合い入れてほしかったなぁ。
それとモンスターパニックにしようとした結果なのか、登場人物を大幅に増やした潔さはよかったけど、それが仇となってまったく誰が誰なのかわからなくなってしまっている。誰が死のうがあんまり興味がないのはパニック映画としてはどうなんだろう。アイツ早く死なへんかなぁ、と思いながら殺されたときの、死によったでぇ!と胸がすく想いの爽快感は必要でしょう。現実を生きる糧のためにホラーを見てる身としては。
後半の宇宙船もなんだか蛇足だけど、最後の決断はカーペンターに通じる悲壮感があって、監督はどこまでもこの作品を愛してるんだと実感した。リアルな純愛映画とはこういうことをいうんじゃないでしょうか。
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