悪魔の毒々モンスター 毒々モンスターの容姿に尽きる

数ある映画のタイトルの中でも、初対面の人に絶対に言ってはいけないもののひとつはこれだろう。

例えば、コンパで自分の趣味は映画鑑賞という話になって、女性に「私も映画よく見るんですよ〜。ラブコメとか超好き!好きな映画ってどういうのですか?」と甘ったるい鼻にかかった話し方だったのが「悪魔の毒々モンスター」の一言でジャガー横田のような素の声に戻り、それまでカルアミルクを飲んでいたのが日本酒を一升瓶でラッパ飲みするまでに彼女を豹変させることだろう。

だけどタイトルだけでなく本当に危険なのは内容のほうである。子どもを車で一度轢いておきながらまだ息をしていることを確認すると頭をミンチ状態に挽き肉にした挙げ句、みんなで写真撮影をするのである。食通であるブラボーおじさんもさすがに絶句するのではないか。

とにかくモラルに反することしかやってやらないぜ!というパンクキッズの精神がのり移ったように危なっかしいアクションが目白押しで当時の規制はまだ緩かったのかなぁと劇中では隠惨なことが繰り広げられながら心中は穏やかに当時に想いを巡らしたり。

それになんといってもメルビンこと毒々モンスターの容姿に尽きる。体はウサイン・ボルト並に完璧なのにがんもどきみたいなルックスは気持ち悪いというより妙なリラックス効果が。部屋の壁紙を青や緑を取り入れるぐらいなら壁一面毒々にしたほうが清々しく眠れる。そのまま目を開けたくないので永眠するかもしれないが。