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殺しのドレス 密室における殺人シーンは目を見張るものが

精神科医がマイケル・ケインだと気づかなかった。まさしく何やってんすかである。『天国と地獄』を見た後に「あれ、山崎努だったの!マジで!」となったのと同じ衝撃を受けた。

デ・パルマが『サイコ』の影響を作品に込めたのと同様に、この作品の影響らしきものが現在の映画の中にチラホラ見られる気がする。

例えば『ブラックスワン』における主観視点と、フレームインするものを限定するカメラワークで、突然人が現れたり、精神的に追い詰められるように感じさせる工夫は、誰しもが絶賛するであろう「美術館の追っかけこ」シーンのカメラワークを参考にしたのだろうし、鏡という小道具は内面を巧みに使う点も継承されている部分だと思う。

鏡といえば、自分自身に言い聞かせる『タクシードライバー』的な演技をマイケル・ケインがやってたけど、性欲を抑えるために自分に言い聞かせるという部分をさらに付け加えられていた。その部分は『ゴーストライター』に継承されてたりする。

こんな感じで誰もがが真似したくなるシーンが満載で本当に素晴らしい作品だと思う。先ほどあげた美術館の移動シーンは、何気ないシーンにも関わらず、ずっと観ていたい欲求に駆られる。何気ないシーンでセリフも全く無いのに、あの女性の性的な欲求を抑えられない感じが伝わった。「なるほど、足を組みかえる動作が多くなるとOKのサインとかも、もしかしたらこの映画が元ネタなんじゃないのかな」と思える説得力がある。