今作品は『悪魔の毒々モンスター 新世紀絶叫バトル』以来8年ぶりにロイド・カウフマンがメガホンを取った2008年製作の映画。すなわち5年の年月をかけて遂に本邦初公開となったわけである。それだけでも涙なくして語れないわけだが、内容はというとそんな感傷的になっていたことを忘れてしまい、生きていることの悩みや、炎天下の中、車中に置いた赤ん坊のことなどなにもかも忘れてしまうほどに突き抜けていい加減、ごきげんなのである。
汚いものはより汚なく、グロいものはとことんまでグロく、エロは出し惜しみなく、といったザ・アメリカとでもいいたくなるほどにどこまでも過剰、ゾンビとチキンをメインにゲロとうんこをまぶしておっぱいでコーティングしたような映画である。
頭がもがれたり、ひき肉機で頭からダイブしているときでもポップパンクが陽気に流れており、とにかくごきげん。特にみんながチキンゾンビになってしまってからの阿鼻叫喚は、見た目は残酷なのにヤル側もヤラレル側も実に楽しそうだし、バックでは能天気なポップパンクがガンガンに流れているしでこれこそ本当のショウタイム。
だけど、元はイェール大学出身のインテリなカウフマンだけあり、大企業に対するアンチテーゼなど社会的な意味合いも多分に含んでいる。今までの作品だってバカなだけじゃなく社会風刺が根っこにあるものばかりだ…ったように思う、たぶん…。そんなことを考えていると、そんな頭固くせずに空っぽにして楽しみましょうよ、と握手をしながらカウフマンに言われるのだろう。クソにまみれた手のひらで。
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