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冷たい熱帯魚 人間の慣れのメカニズムに恐ろしさを覚えた

進んで人にお勧めしたくないが、「生きるってのは痛いんだよ!」の場面で涙してしまった、私めとしましては「感情を揺さぶられる」という映画体験ができる映画としてこっそりお勧めしたい一本。

「殺しの技術(人間の死体の骨と肉を別けて、証拠隠滅をする)」があれば、証拠が残らず、捕まらないという描写が本当に忠実に描かれてて、普通の映画だとフレームアウトしている物が、キチンとフレームインしているのが、とても不愉快なのだけれども、三度目の人体解体シーンでは視聴者側も主人公とともに、その非日常的光景に慣れてしまっているという事実が映画的演出としてうまい!!と思うと同時に人間の慣れのメカニズムに恐ろしさを覚えた。

あと、殺人描写と同じくらい、性描写がこの映画には多いのだけれども、パクチャヌクの「乾き」とにもいえるけど、その二つの行為は「人を物にする」という点に共通点があり相性がいいのでしょうね。

食描写もすばらしくて、温かい家庭のご飯が全部冷凍食品で、その買い方すら作業的だという徹底ぶりは作り手の「嫌な感じの映画を作る」という行為への真剣さの表れだと思う。

あと何より素晴らしいのは「でんでん」の飴と鞭、ヤクザの人たらし技術。「貴方の全てを理解している感じ、俺は受け入れてあげるという感じ。」一見するとなんて面倒見がよくていい人なんだ!!となるのだけども、裏を返せば、「俺はお前のことは何でもお見通しだから、悪い気は起こすな。起こしたら…わかってるな」ってことだからね。飴の裏返しは鞭なんですね。本当にこの映画を見て実感しました。