こんなタイトルなので、イカれたピエロ同士が殺し合うのかと思ってしまうけど、まさしくその通りの映画だった。原題は「悲しいトランペットのバラード/最後のサーカス」なので、わかりやすく尚且つインパクトのある、この邦題は素晴らしいと思う。
原題と邦題の違いは、本国スペインでは戦争の背景と笑かしピエロと泣き虫ピエロの関係を結び付けていることを強調しているようだけど、日本では2人が愛する人を自分のものにするために血で血を洗う死闘をメインにした結果なのだろう。
この時点でもわかるように、この映画をジャンル付けすることは非常に難しい。ありとあらゆる要素が混ざり合い、仕分けすることが大好きな日本人には戸惑いを隠せないことになるが、これこそ正真正銘のエンターテイメントである。
サーカスで演技中に突然、軍隊が乱入し、無理やり戦地に赴くことを命じられたピエロが、笑いながらナタをブンブンに振り回し皆殺しにする強烈な幕開けとなるが、早々にナタピエロは退場。それからナタピエロの息子である、おどおどしたアシカみたいな泣き虫ピエロにバトンタッチしてから、厳しい団長に手を焼きながら、優しい先輩女に恋をしたら団長の女だった、というよくあるような話ではあるが、そこからレールが一気にずれていき、ずれたレールはスピードを加速させながら銀河系を突き抜けていく、もうわけのわからん方向へと爆走していく。
次はどうなるのか、という楽しみの反面、ちゃんと収拾がつくのだろうか、という不安も抱くがヴェネツィア映画祭で銀獅子賞と脚本賞を受賞しただけあり、激動の末に幕が閉じていく。
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