RECシリーズにもかかわらず、きちんとPOVしているのは最初の20分だけなのでそういった手法に限界を感じたのかもしれない。POVしないんだったら、このシリーズの意味があるのか疑問にも思うが、その思い切りの良さは好感が持てる。
ゾンビ映画にもかかわらず、友達が感染してもなんのためらいもなくチョンパしちゃうのも潔よい。ゾンビ映画独特のカタルシスを完璧無視してまで撮りたいものがあることに大いに理解できる。
これはRECシリーズであり、ゾンビ映画ではあるものの、絶望の真っ只中にいても希望を無くさない純真無垢な恋愛映画だったとは。
そう考えると『死霊のはらわた』のオマージュであるチェーンソーを使いながら、爽快感のある料理法はごく僅かなのも頷けるし、自分の身を守るための武器を使い捨てていく理解に苦しむ行動にも納得できる。ゾンビ映画のセオリーで見るのではなく、あくまで恋愛映画なのだから。
ゾンビになっていく元凶が悪魔の仕業という過去の設定を最大に活かせる舞台である結婚式も今までの伏線と考えると、とても壮大な物語となる。
ゾンビ映画であまり深く考えるのは御法度なのかもしれないけど、リアリティーの欠如が著しいので恐怖感が減少している上に若干苛つきが増している。それでも予算の都合上、限られた箱でしか繰り広げられることが少なくないゾンビ映画にしては、だだっ広い式場を目まぐるしく移動する広がりのある空間は鬱積としたものが感じられず、心地よさすら抱いてしまう。まぁゾンビ映画に心地よさいらないけど。
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