嗤う伊右衛門 生きている人間の醜さが現れた映画です。

あらすじ:東海道四谷怪談をもとにした映画です。原作では伊右衛門は悪者ですが、映画ではお岩を愛する男性として描かれています。お岩さんも、強く生きる女性として描かれています。

感想:小雪演じるお岩さんがとにかく美しかったです。伊右衛門もお岩さんも言葉が少ないながらもしっかりとした愛で結ばれていることがよくわかりました。やっぱりホラー映画なので、血みどろなシーンがかなりあったのですが、全体的に美しいシーンが目立ちました。お岩さんの醜い容姿も普通の景色ではあまり目立たないのですが、背景が赤だったり、暗闇の中ではぞっとするほど怖かったです。

 最後のシーンで祖先が訪ねてきた時、お棺の中から大量の蛇とねずみが出てきて身の毛がよだつかと思いました。お棺の中を見ると、婚礼衣装に身を包んだお岩さんと伊右衛門が入っていました。伊右衛門が死んでしまったお岩さんに櫛を買ってあげて、自分もお棺の中に入り死んでしまったのはお岩さんのことを心から愛していたからだと感動しました。

 お化け的な怖さはあまりない映画でした。いきなりお化けが出てきてびっくりする怖さもありませんでした。お岩さんや伊右衛門のすきをついて悪代官の伊藤喜兵衛に利用された結果色んな人の人生が狂っていく様は背筋が凍るようでした。一番怖かったのは、2人目の奥さんになにをされても動じなかった伊右衛門が、奥さんが不安のあまり子どもを殺したことで、奥さんを殺したシーンです。生きている人間の醜さや恐ろしさがよく描かれていて、それが怖い映画だと思います。