この映画は人間が怖いと感じる心理を非常によく研究した映画だと思います。
人間というのは「自分の理解できないもの」にとてつもなく恐怖を感じる生き物だそうです。
たとえば宇宙人や変質者や幽霊などに恐怖を感じるのはそれが自分の常識の範疇を超えた存在だからです。
「何者かわからない」「何をするかわからない」ので身の危険を感じるのでしょう。
この映画はこの「理解できないもの」を現実にありえそうなシチュエーションにこだわり描き出すことによってまるで自分の身に起こっているかのような斬新な恐怖を観客に与えます。
ホラー映画ではしばしば「得体の知れないもの」が出てきますが、何にも特別なことをしていない日常生活にある日突然それが出てくるという臨場感が他の映画とは一線を画しています。
この映画では終始登場人物の家庭用ビデオカメラによってストーリーがすすんでいきます。
ビデオカメラなんてどの家庭にもあるものです。撮影場所は自宅の寝室です。誰もが毎日生活する場所です。こういったごく普通な日常生活の中に突如として「理解できないもの」が侵入してくる様子がカメラに淡々と収められています。夜な夜な何かが寝室に侵入して来るのはわかる。でも姿はみえない。
何をされるかわからない。勝手な想像が恐怖をよりかき立てます。
フィクションとわかっていても本当に起こった出来事なのではと感じてしまいます。なぜならシチュエーションが普段の自分の生活とかぶるからです。とてもリアルなのです。
「こんなことがどこかの家で実際に起こっているかも・・・」と思ってしまいます。
またギャップがきちんと描かれているところもよくできていると思います。
前半は幸せなカップルの生活がビデオカメラにうつしだされていますが、次第に・・・となっていく様は
が加速度的に恐怖を増していると思います。
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