エスター。絵が上手く、聡明で、少し不思議なクセのある九歳の少女。
孤児の彼女の過去には常に周囲の人間たちの不審な「死」があった。
その娘の秘密を、探ってはならない。
三人目の子どもを死産してしまった主人公夫婦。その心の傷を癒すため、彼らは養子を探して孤児院を訪れる。妻はそこでひとりで絵を描く少女と出会う。暖かなその絵のタッチと真摯にキャンバスに向き合う彼女と言葉を交わし、夫婦は彼女を養女とすることを決める。
彼女にはいくつか不思議なクセがあった。必ず鍵を掛けて入浴し、首のリボンを外そうとすると錯乱寸前になる。また、ジーンズなど活動的な服装を好まず学校にもお人形のような衣服で通学した。その格好からクラスでは浮いた存在となり嫌がらせなども受けるのだが、彼女にそれらの行為を働いた生徒たちは必ず悲惨な事故に遭う。
一方彼女に夫婦の営みを目撃されたことから、妻へのエスターの敵意、悪意、害意は激しさを増していく。
エスターを不気味に感じ始めた妻は彼女の過去を調べ始めるのだが・・・。
単純にサスペンスとしても面白い。
私は最初、エスターが人外的な存在だとばかり思っていた。
エスターが夫婦の夫に興味を抱くのと同時に、妻はどんどん彼女の策略によって追い詰められ周囲から孤立する。この辺りは妻に感情移入していると辛い。作品の季節が曇り空と雪の多い冬なのがまた閉塞感と孤独を煽っている。
真相が判明するとあらゆる疑問が解ける。無理がなく、それでいて意外なネタばらし。
彼女が絵を描くことを好んでいたのは何故だったのだろう。孤児院のシーンの絵にもおどろおどろしいモノが隠されていたりしたのかもしれない。彼女は自らの本性を「塗り潰す」ことでエスターという少女として生きていたのだから。
ちなみにDVDにはもうひとつのエンディングが収録されている。個人的にはこちらの終わり方もなかなかホラーっぽく好み。
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