気が付くと古ぼけたバスルーム。
部屋には自殺死体、見知らぬ男、そして足には枷がはまっていた。
自分たちをこの状況に追いやったのは巷で連続殺人鬼とされている「ジグソウ」。
奴は命を粗末に扱っていると見なした人物に試練を課すという。
時間内に目の前の相手を殺害せよ。そうすれば、お前の生への道は開かれる。
シリーズを重ねるごとに凄惨な描写に力が入っていくが無印はミステリーかつサスペンス色が強く、謎解きとしても楽しめる。
バスルームの中で重ねられる二人の試行錯誤、外で進行する事件。
犯人であるジグソウの不気味さはやはり無印だと思う。刑事たちがジグソウを追い詰めるシーンは謎めいた佇まいが妙に魅力的でさえある。(ちなみにこの時のフードを目深に被っていた衣装は実は裏返しで着ていたらしい。本来の衣装よりもその方がイイという監督たちの現場での思いつきだという)。
二転三転する状況、過去と現在を織り交ぜた構成、絡み合う登場人物たちの思惑と真意。
純粋に翻弄されるも良し、アレコレと推理するも良し。
しかし全ての伏線はあのラスト、その為にあったのだろう。
あの後、彼には文字通り絶望しか待っていない。だって「ゲームオーバー」なのだから。
ホラーではある。しかし、sawはなにが一番怖いのだろうか。
痛ましい試練と装置か。そんな状況に自分がなったらという恐怖か。極限状態の人間たちの怖さか。
それは観るものが決めることだ。
私はこの作品を今でもたまに観返すのだ。何故だかは分からない。
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