2004年のタイ映画『心霊写真』。「意外性がない」など、否定的なレビューも見かけたことがありますが、個人的にはむしろ、そこに好感をもった作品でした。
まず、ハリウッドよりもジャパニーズホラーよりの作品だな、と思いました。幽霊は黒髪に白いワンピースの典型的なスタイル。怖いシーンもチラッと見せることが多く、あまり派手な演出を好まない、じわじわ来る系の日本のホラーに通じるものがあったように感じます。
よくある幽霊のビジュアルや、奇抜な演出がないところ、さらに「因果応報」を感じさせる復讐譚であることから、非常にスタンダードなホラー映画だな、と感じました。このあたり、人によっては「ひねりがない」とか「新鮮味がない」などと感じてしまうところかもしれません。
しかし、ちょうどこの頃にたまたま「実はすべて主人公の妄想だったのだ」というオチの映画を複数観てしまったこともあり、個人的には「そうそう、こういうのでいいんだよ!」と、妙なひねりを効かせないストーリーに拍手を送りたい気分でした。嫌味がなく、とても真面目に作られた作品という印象も受けました。
また、97分とあまり長くないのも、ダレなくてよかったと思います。加えて、タイの映画をほとんど観たことがないので、そこに新鮮さを感じることもできました。あまり聞きなれないタイ語や、何が書いてあるのかさっぱりわからない文字、手を合わせてお辞儀をするシーンが普通にあったりするところなどは、いい意味で「違う文化圏の映画だなぁ」と感じさせてくれました。
奇抜な演出や凝ったストーリーの映画もいいですが、やり過ぎるとかえってイマイチに感じてしまうこともあるでしょう。直球勝負の『心霊写真』は、個人的には好感度のとても高い映画です。
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