回路 雰囲気重視で終末感を楽しみたい

2001年公開のホラー映画『回路』。聞くところによれば、賛否両論と言われているようですが、個人的には好きな雰囲気の映画です。

全体的に暗い雰囲気で、物語は少しテンポがゆっくり過ぎるように感じるかもしれません。また、びっくりするような派手なシーンも特にないと思います。

この映画の魅力は「じわじわくる終末感」とでも言えばいいのでしょうか。登場人物の周りの人たちがどんどん行方不明になり、あるいは自殺をし、街からも人の姿が少なくなっていきます。人気がなく、閑散とした都会の光景は、何とも不安な気分にさせてくれます。

いまいち因果関係がわからないというか、映画に登場した謎が解明されない感もあり、その辺に納得のいかない人も多いかもしれません。

ちなみに印象的だったシーンは、小雪演じる登場人物の女性が、なぜか自殺する時に黒い袋をかぶっているところ。インパクトは大きいのに、袋をかぶっている理由がよくわかりません。しかし、理由がわからないながら何となく記憶に残っているという点では、意義のあるシーンと言えるかもしれません。

ともあれ、ストーリーの伏線回収や細かいツッコミは置いておいて、世界が終末に向かっていく雰囲気をじっくり楽しむのがいいのではないでしょうか。「わけがわからない」ということも、怖さを感じる理由になるかもしれません。

また、家族や親友などの親しい人も消えていく中で、こんな世界で生きるよりも、早めに消えてしまった方が幸せだったんじゃないか?などと自問自答するのもいいでしょう。絶望的な状況に陥ったとき、自分ならどう考え、どう行動するか?と想像するのもまた、ホラー映画の持つ楽しみではないかと思います。

ゾンビが大発生するなど、派手なパニックと共に迎える終末系ホラーもいいですが、じわじわくる終末感もまたいいものです。