デビルズ・バックボーン スペイン版「あなたの知らない世界」

この映画の内容は、簡単に言うとスペイン版「あなたの知らない世界」です。

主人公は戦時下の孤児院に連れてこられた少年で、入居早々いじめっこと幽霊の歓迎に遭います。孤児ですから、釈由美子のように「ホームメイトがあるから大丈夫」というわけにもいかず、じっと我慢の日々です。

しかしこの子供ユーレイがろくでなしで、幽霊なんだから自分を殺した人間をさっさと呪い殺すなり、嫌がらせを繰り返して発狂させるなりすれば良いものを、恨めしそうな顔をしてボサッと立っているばかりです。

何の関係も無い主人公に「どうにかしてくれ」とは他力本願も最たるものですが、本来幽霊とは自分勝手で傍迷惑なものらしいですから、仕方ないんでしょうか。これでは柳ユーレイとなんら変わりありません。

この柳ユーレイがグズグズしていた結果として、この孤児院はどんどん悲惨なことになっていきます。「呪怨」と違って、この映画では酷い事をするのは人間ばかりです。柳ユーレイは結局只の無能でした。

古典的なホラー映画と戦争悲劇ものを組み合わせたような話でした。全体としてはとても静かで、悲しく、幻想的な印象です。人は沢山死にますが、残酷なシーンはあまりありません。

また、戦時下であっても元気な子供達が良かったです。酷い目にも遭いますが、力強く乗り越えて行きます。この作品における唯一の希望として描かれています。

スペインの「あなたの知らない世界」は日本のものとは違い、地味ですがとても丁寧に作られた映画でした。もし新倉イワオさんが見たら、どんな解説をするのでしょうか。