パンズ・ラビリンス 監督の情熱が感じられる作品

これは、小さな子供にクリティカル・ヒットするトラウマを、次々と剛速球で投げつけてノックアウトさせるダルビッシュ選手のような映画です。そして映画としては非常に丁寧に作られた、監督の情熱が感じられる作品でもあると言えるでしょう。

現実世界とファンタジー世界のどちらを主軸として見るかによって、見終わった後の感想は正反対になります。現実世界が強いように感じられるため、悲惨なイメージがあるのだと思われますが、監督は2つの世界を並行して描くのがテーマであると言っているので、ファンタジー世界を否定してしまう見方はあまりにつまらないと思います。

表現はドギツイ部分が多いものの、全体的には童話的要素の強い作品に感じました。昔読んだ西洋の童話って、残酷で悲しいものが多かった気がします。しかし、そういうものは後になっても心に残っているものです。

明るくて面白おかしい話と同じくらい、子供にこういった話を見せるのは大事なことだと思います。世の中には楽しいことも不快なこともイロイロあるんだな〜と教えることを、最近の教育やメディアは避けている気がします。

童話「赤い靴」なんて、僕には衝撃でしたからね。足をちょん切るなんて!と、ア然としたものです。まあ、それが自分にとって良い経験だったかは分かりませんが(笑)。

子供にこれを見せるかは別にしても、ファンタジー映画に興味のある方、そしてもちろんホラーファンにもオススメできる映画です。この監督は今後ますます活躍が期待される方ですので、注目しておいて損はないと思いますよ。