精神異常者が主人公の映画、それもサスペンス・スリラーとなると、何となく嫌な予感がするものです。
「驚愕の結末が待つ!」とか宣伝されると、なおさらです。
そういうフラグがギンギンに勃ってしまうと、もう結末はいくつかのパターンの内の1つに限られてしまうからです。
これを防ぐには、主人公が精神異常者であることを伏せる必要があるのですが、舞台が精神病院ではどうにもなりません。
もし堂々とこういうシチュエーションで驚きの結末を用意するならば、こういう予想を覆すなり、予想を遥かに超える展開まで持っていく必要があるのですが、実際はなかなかそこまでの作品はありません。
この映画はどうかというと、序盤で「こういう話かもしれないな」と予想したことが、そのまま最後に起こってしまいました。
ただ、それほど不快な気持ちはしませんでした。
理由としては、そもそもこの映画は非常にレトロな作りのスリラーとなっているからです。
大きな音でワッと驚かす演出が多用されているし、キャラクターの色分けも類型的で分かりやすく、初めて観た映画のような気がしないほどです。
そもそも斬新なものを目指したわけではないので、オチが読めてしまうのも構わないという作りなのかもしれません。
スタッフロール直前のお約束シーンとか、ワザとやってるとしか思えないです。
とても丁寧に作られたB級スリラー、というと変な感じですが、その表現が一番しっくりくる感じです。
ジョン・カーペンターはB級映画界の巨人ですから、その辺の安心感はあります。
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