エクステ 笑いに逃げてしまっています

その美貌と凶暴な演技で世界中の男性(ドM)のハートを鷲掴みにして放り投げている大女優、栗山千明先生主演のポンコツホラーコメディーです。大杉漣も出てます。

栗山千明大先生はこの映画でも本当に素晴らしいです。他にも女優は沢山出ているのですが、明らかに抜きん出ている感じで、とても魅力的に美しく撮られています。この点に関しては、監督にも惜しみない賞賛を贈りたいですね。

しかし、他の部分はしょうもない感じが延々と続く残念な作品でした。

一番の問題は、コメディ的な部分がまったく面白くないところです。最初はストレートで陰惨なホラーなのかと思っていたのですが、途中から「これはわざとふざけている内容なんだな」と気付きました。

監督の舞台挨拶にもあるとおり、様々な要素をなんでも詰め込んだ作品であるとは言えます。しかし、それらがお互いにぶつかりあっている気がします。

美容院の描写がオシャレなトレンディドラマ風だったり、児童虐待の描写が本当に不快だったり、漣の演技が過剰に馬鹿馬鹿しかったり、CGが妙にチープだったりと、それぞれが妙に浮いてしまっていてやたら気になってしまいます。

それが狙ったものなら仕方ないのですが、どうも監督は普通の娯楽映画を作りたかったみたいですし…。特にクライマックスくらいはホラー色を前面に出すべきなのに、笑いに逃げてしまっています。

この映画を面白いと思う方もいるのでしょうが、僕はダメでした。日本のホラーの悪い典型のような気がしました。悪ふざけで終わるのを、「コメディだから」と言い訳しているような作品が多いと思います。