シャイニング 「吹雪」の日に必ず思い出す映画

ジャック・ニコルソン主演で、冬季休業中の古いホテルを管理しにやってきた一家が、やがてホテルに巣食う悪霊に蝕まれていくホラー映画です。

 最初は平穏だった家族ですが、父親がだんだん精神を病んで行く様が怖いです。古くて豪華なホテル、でも広々とした館内には一家以外に誰もいない。それだけでも怖いのに普通の人間の姿で霊たちが現れるから観ているこちらも錯覚を起こしそうになります。平和な日常に見えてじつは雪に閉ざされた隔離生活の中で、圧迫感を感じ始めていた主人公はしだいに霊に惹かれていきます。悪霊に耳を貸さないで欲しいのにどんどん霊に引き寄せられていく父親が危うくてハラハラ、ついには悪霊の意のままに妻子を殺そうとする姿が恐怖です!

斧を持って妻を追いかけ、ドアを叩き壊そうとするシーンはあまりに有名です。ここまでやるか!?本当に殺す気!?早く正気に戻って!などと父親にわずかな希望を持っていたのですが、このシーンを観て絶望でいっぱいになりました。

魔の手は幼い息子にも及びます。この映画で私が最も陰鬱な気持ちになったシーンです。真っ暗な吹雪の中、ホテルから飛び出した息子は庭へ逃げ込みます。それを追う父親。手にはやはりが斧。庭木の迷路の中へ身を隠す息子、隠れる息子の前を斧を持って通りすぎる父親。もう心臓が飛び出そうなくらい怖い!こっちもおもわず息を止めたくらいです。

そしてこの窮地の息子がとった手段がまたすごい!小さい子供がこんなこと思いつくか!?と疑いつつも映画に引き込まれ思わず驚きの声をあげてしまいました。このシーンの息子の心理、真っ暗な吹雪の中での逃走劇の描写があまりにも陰惨なので私の脳裏にしっかりと焼きついてしまいました。

以降、冬場暗くなってからの外仕事の最中、吹雪になるとこのシーンを思い出します。そして息子のあのシーンをちょっと再現してみたりします。心の中から震え上がり、病んでるなと思いつつあの映画の底なしの暗さを吹雪のたびに噛み締めてしまうのです。