正直、ホラーとしてはそれほど怖くないかもしれません。
しかし優れた物語をもつ映画です。
「この映画には秘密があります。まだ観ていない人には話さないでください」
というお願いが冒頭に流れます。
映画を最後まで観ると、この言葉の意味がよくわかります。
「秘密」は映画のラストに明かされ、物語は衝撃的な結末を迎えます。
そしてこの秘密を知っているかどうかで、この映画の見え方は180度変わってくるのです。
一場面一場面、台詞の意味、視線の意味まですべてに意味があったことがわかります。
ですので、衝撃の結末の直後に
「もう一度みたい!」
となること請け合いです。
私は2度見ましたが、2度目のほうが感動的でした。
そして肝心のホラー面ですが、死者や幽霊じたいは、あまり怖くありません。
いかにもホラーな登場ではなく、おどろおどろしく現れるのでもなく、ごく自然に、いつのまにかそこに立っていたりします。
しかしその自然体の演出こそが逆に怖かったりします。
霊感を持つ人はいつもこんなに怖い思いをしているのかと、想像してしまうのです。
画面に映らない、映像的ではない怖さというか、肌で感じる怖さがリアルなのです。
それはハーレイ・ジョエル・オスメントの演技のうまさのせいだと思います。
彼の怖さが伝わってくるのです。
そういう意味でものすごくリアルなホラーでした。
この映画は、死者は「自分の見たいものしか見ない」という設定で作られています。
その設定があるからこそ衝撃的なトリックが成立するのですが。
が、後になってもう一度見直したとき、その言葉は、死者だけではなくわれわれ生きている人間にもあてはまるのではないかとさえ、思いました。
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