武器人間 おぞましくはあるものの見世物小屋を観るような楽しい作品

「武器人間」はオランダ・アメリカ・チェコ合作という、言われてみれば確かにヨーロッパの香りのする2013年公開の作品です。

概要としては「ナチスの残党が死体を使ってヤバイもん作ってるぞ!」というわけで、うっかりやってきた(実際は最初からその目的で来させられた)偵察部隊がひどい目にあいます。

ストーリー的にはちょっとしたドンデンもあり、撮影もPOVで「現場で回しているカメラを通しての映像」という体をとって少しは凝ったつくりですが、それほど奥深い作品でもありません。

まず恐怖の対象となる武器人間ですが、確かに死体を使ってつくられたというおぞましい出自ではあるものの、個々の戦闘力はさほどではなさそうです。たまたま巻き込まれた彼らは施設内で遭遇したから悲惨な目にあったものの、広い空間なら簡単に逃げられそうではあります。動きもそんなに機敏ではないので対戦車砲とかで簡単に沈黙しそう。

なんらかの原因で故障した武器人間は回収されるわけでもなく自力で博士のラボまで這いつくばってでも返ってくるわけですが、充電が切れたロボット掃除機のようで少し微笑ましい気分にもなります。武器人間は別に悪意を持っているわけじゃない単なる犠牲者であって、この作品で悪人と言えるのはせいぜい博士ぐらいなので、そういう感情的な機微とかはあんまりないです。

この系統の映画が好きで、グロい映像にも耐性のある友達どうしが集まってツッコミを入れつつ観るのに適した作品だと思います。日本版予告のナレーションが大山のぶ代さんであることで話題にもなりましたが、吹き替えはそれに合わせてか旧ドラえもんのキャストを揃えています。それに加えて新のび太の方もおられます。字幕派の人も、これに関しては吹き替えを楽しんでみてはいかがでしょうか。