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ファニーゲーム U.S.A 圧倒的で理不尽な暴力

この映画のテーマは徹底的な暴力を持っての“暴力反対”という事なんでしょうけど、この映画がそのテーマを一番効果的に伝える事が出来る作り方をしているかとなると、私はそうは思わないんですよね。

まず、後味が悪くなるぐらいの圧倒的で理不尽な暴力が、終始強者であるというのは良いと思います。これは、暴力の恐ろしさなんかが効果的に出ているし、テーマに沿っている。こういう事件は確かに起こっているし、実際は都合良くヒーローなんて現れないですから。観ていて大変不愉快にはなりますが、ああいう事をする人間は確かにいるという事を、監督が伝えたいというのがよく理解できる。

あとややネタバレにはなりますが、子供が殺された後の長回しは最高に良いですね。普通の映画なら子供が殺されるという事すら避けそうですが、避けないし、その後の悲しむという感情から逃げるという感情に切り替わる心の動きが見える。普通の映画ならカット割って音楽流して1分ぐらいでやりそうですが、この映画は5分ぐらいワンカットですからね。間なんかもリアリティがあるし、ここは相当考えさせる事が出来るシーンで良かったです。

ただ、暴力の悲惨さを訴えているわりには、暴力描写がほとんどないんですよね。想像させたいのかなんなのか、見せない事に重点を置いているんです。本当に暴力反対ならやはりそれを知る意味でも見せた方が良いと思うし、妻が脱がされるシーンなんかも、裸が映っていた方が残虐性がより出て良かったと思うんですよ。それは本当に“無駄ではない脱ぎ”じゃないですか。