主観カメラの映像から展開される物語ですが、同じ手法の“レック”という映画がありますが、遥かにこちらのカメラの方が良くて、とにかくリアルなんですよね。伝えるというわりには、いきなり出て来たゾンビに驚き、カメラを逸らしてしまったりするんですけど、こっちではそういう事が一切なく、もの凄い近距離でゾンビを撮影するし、嘘くさいぐらい決定的瞬間を次々捉える。
そもそも、このカメラの映像一本で行くという意図がもうよくわからないんですよね。このやり方で一番効果的に現れる作用というのは、やはりリアリティや、“劇”ではなくなるという事を目的として取り入れられた手法に思うんですけど、この映画はとにかく間がなく、1分に一度、何かしらの出来事や事件が起こるので、リアリティのへったくれもない。しかもこの映画は、最初に主人公が編集したという呈で物語は進められるので、効果音やナレーションが入っていて、結局あまり主観カメラの意味を成してない。
このリアリティの甘さを上げればきりがないんですよねこの映画。わざわざ主人公が最初に恐怖心に訴えかけたいから効果音を付けたとか断りを入れますが、真実を伝えたいならそういう事はしない方が良いし、それよりなにより、監督が単に効果音なしでは駄目だと思って入れたのが見え見えなんですよね。完全に監督の言葉なんですよ。
ただこの映画のメッセージは好きです。訴えかけようとしている事は40年前の“ナイト・オブ・ザ・リビングデッド”と全く変わっていなくて、反戦なんですよね。ゾンビとは人間のもう一つの姿であり、それに対峙する人間も人間。
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