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バスケットケース ホラー版『ゆれる』

単なるフリークスもののホラーと思って油断していると、簡単に驚かされる。この映画には兄弟の哀愁がある。ホラー版『ゆれる』なんじゃないだろうか。 シャム双生児の兄弟。一人は頭と腕でしかない奇形。その姿から、実の親からも疎外され続けてきた兄と、正常な弟。兄を気持ち悪がった親は手術を強行し、二人を切り離し、兄を捨てる。

そこから異形の者の復讐劇が始まる訳ですが、良いと思うのは弟が復讐に加担する所。普通、加担どころか親や手術を強行した医者の方に付きそうなものですが、この弟は兄に加担する。その動機は紛れも無い兄弟愛で、10数年間、片時も離れず過ごして来た二人なので、僕ら常人には理解できない行動と結束力を持つという説得力がある。

兄弟との対比も良くて、兄の性欲のはけ口は、自慰行為なんて比にならない程痛ましい。女性の下着をバスケットケースに持ち帰るシーンも、女性がもの凄く不細工なんですよ。ここで不細工と美人の下着も持ち帰るのでは、えらい差があるんです。これはヘネンロッターは良い所ついてきたと思いましたね。

兄は簡単に人に牙をむけるが、弟だけには一切手出ししないのが泣ける。終盤で弟を殺そうとするシーンがありますが、途中で止める、あれは兄の葛藤が見えて素晴らしいです。正直ただの安っぽい人形ですが、魂が宿っているように見えました。

ラストも、兄弟愛が垣間見えた良いシーンでしたが、ちゃんとキャラクターに尻拭いさせているのは、ヘネンロッターは偉いと思う。