この監督、センスはあると思います。ただいかんせん技術と予算がない。そこが残念。でも、面白いなあ。この映画で多様する画面分割とか、ただやりたいだけだもんなあ。しかもゾンビ映画に対する情熱は感じた。
ちょっとあの『ブレインデッド』の影響を感じられるのは個人的に波長あっちゃいましたかね。いきなりキャラがカンフーの達人みたいになるし、ゾンビ集団が襲って来ても、なんだかんだ人間の方が勝ってしまうという。この異形の者より人間が勝るという考えは、完全にピーター・ジャクソンが開拓した畑、なのでそこはまあ“オマージュ”として良かったです。
基本的に、ゾンビ映画をやりたいだけなんですよね。キャラに執着なんて絶対にないと思う。ゾンビから逃げ惑う画が撮りたいだけ。タクシーの客の女なんて途中で完全別人ですから。全く同一人物とは思えない言動をしだすんですけど、何かワンアイディアきっかけがあれば狂気的になったんですけどね。
ただ終盤、あるキャラが死ぬ時の少女の涙がよくわからない。あそこで少女だけが涙を流すんだったら、もうちょっと慕ってたみたいなシーンがあった方が良いと思うんです。ピッコロとご飯ぐらいはね。ただあんなキャラを少女が慕うかとも思うし、だからここがもしコメディ要素で泣いていたとしたら、エラいつまらん映画なんですけど、よくわかりませんね。謎です。
以外にラストカットが無茶苦茶凄いんですよね。サッカー場で数千数万のゾンビが押し寄せて来ているのを空撮で撮っているんです。これは相当凄い。多分ここが一番やりたかったんじゃないでしょうか。
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