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スペル 失速感が尋常じゃない

1000年の眠りから覚めた大魔王との死闘ではなく、ババアにちょっと不親切にしただけでとことん恨まれるという、ある種、“誰にでも起こりうる恐怖”が発端になっているのかと思いきや、入り口がそういうだけで、中盤以降は呪いや悪魔がどうとかに話が進んで行くので、なんかババアの勢いがどんどん無くなってくるのが、とにかく残念ですね。

開始25分ぐらいは、個人的に大好きな映画だったんですよ。とにかくババアの勢いが凄くて面白いですから。やたら入れ歯に糸ひいてたり、啖をハンカチで拭いたりと、とにかくババアの品のなさが最高だし、序盤はババアの勢いで確実に元気のある映画になっている。サム・ライミがニヤニヤしながら撮っているのもなんとなく想像つく。

ただ、中盤ぐらいからババアだけじゃ駄目だと思ったのか、悪魔がどうとか言い出して、徐々にその悪魔が登場するのですが、透明だったり、影だったりと、この悪魔描写のネタがとにかくしょぼい。中盤はそのしょぼい悪魔描写でもたそうとするので、失速感が尋常じゃないんですよ。効果音もやたらうるさいんですけど、誤摩化しているようにしか感じませんでしたね。

もうちょっとエンターテイメントであって欲しかったですかね。正直僕は、怖がりに観に行ったというより、サム・ライミというホラーバカがどこまでやりたい放題やるのか、という所に念頭を置いて観に行ったので、好きにやってるなあと思わせて欲しい。もっと笑わして欲しかったです。