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TATARIタタリ/呪いの館 料理の仕方がズレている

ホラー映画専門制作会社として設立されたDC(ダークキャッスル)の第一作目。かつて惨劇の起きた館に集まった人々が奇怪な出来事に襲われる、というもう突っ込みようがないほどに古典的なホラー映画。

…なのだが、どうも素材の料理の仕方がズレている、というかちぐはぐな印象を受ける。1930年代にしては妙に近代的(ライトアップまでされてる!)な舞台となる館を皮切りに、幽霊が人を襲う以前にそれ以外の理由(主に、人間側の勝手な事情による)で退場していくキャラが多すぎるし、推理パートとホラーパートが並行して進んでいくために、どうも純粋な「怖さ」というものから観る者が遠ざかっていく。せっかく導入部で「魅せて」おきながら、病院という舞台設定をほとんど活かせずに終わってしまった点もマイナスだ。

古典的なホラーにしたいのか、新しいホラーの形を作りたいのか。怖がらせたいのか笑わせたいのか。じっとりとさせたいのかスピーディーにしたいのか。映画を構成する各要素の目指す方向性がてんでバラバラなのである。そんなわけで完成した映画自体は、なんだか古今東西ごちゃ混ぜの遊園地のお化け屋敷みたいになってしまっている。

が、そうした訳の分からなさが逆に変な魅力を放っているのだから、また始末が悪い。映画自体はちっとも怖くないが、やたらアクティブなキャラクターたち、幽霊置いてけぼりの人間だけで暴走する展開が意味不明の迫力を醸し出していて、ホラーそっちのけでコメディとして楽しめてしまう。