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もの凄く頭の良い人間が映画という表現を手に入れ、尚かつ人間の恐怖心や心理なんかを題材に映画を作るので、とにかく面白い。人間の孤独感から来る憎悪と、愛の持つ寛大さ、これを“心霊”という表現で描くという並外れたセンス、これは相当な捻くれ感がないと考えつかない発想であって、本当に凄いですね。そして、映画が好きな事がヒシヒシと伝わるのも好感が持てる。

この映画には、オチの要素もあるのですが、それまでに“展開”や“人物”が物語の中にしっかり存在しているので、オチが売りのクソ映画になってないのも良いし、この監督に共通して言える事があって、とにかく“映像化”するんですよね。この監督に見せない事の妙なんて言う言葉はなくて、どんな非現実的な事でも、とにかく観客に見せる。

むしろ非現実的であればあるほど、それに反発するかのように映像化する。それはドラマではやっていない、映画にしか出来ない要素の一つなような気がします。カメラなんかも有り得ないぐらい引きのカットのオンパレードで、人気役者のアップで視聴率も取ろうとするドラマと正反対の事をやってて最高ですね。

だからたまにあるアップがかなり生きてくる。もはや使い所を熟知しているとしか言いようがなくて私は好きなんですが、ただ、ネットのレビューの評価が奮わない理由もよくわかります。それはホラー映画として見るからです。なんせ霊と喋っていますからね、ホラー映画にしては見せすぎなんですよ。