多分、当時のピーター・ジャクソンは童貞なんじゃないか。何故なら女性が全然出ない。なので、出演を依頼できる異性がいなかったんだと勝手に思うと、なんだか泣けてくる。ただ、その反動が良いように映画を良くしていて、最高にパワフルで馬鹿なピーター・ジャクソンという映像作家の全存在を懸けた、凄い作品になったんじゃないかと思う。
エロがないので中学生レベルの映画にもなれず、もはや小学生が書いた漫画のような脚本なんですけど、仕掛けがいっぱいあるのが良いですよね。展開にそこまで関係ないんですけど、自分がやりたいからなのか、映像化する。そういうシーンのオンパレードなんですけど、それが結果として“客を飽きさせないアイディア”になっているのは、純粋に凄い。
小学生レベルの脚本とは言いましたけど、撮り方や編集はかなりレベル高いし、その“客を飽きさせないアイディア”には才能を感じる。しかもこの映画には無駄にメッセージがあって、僕はしっかりキャッチしてしまった。それはどういう事かと言うと、全てのSFは何故、人類が勝利するか?という大きな所にまで話が飛躍し、その理由をこの映画はわかりやすく、僕らに叩き付けた傑作なような気もする。
この映画は、発狂した人間が宇宙人を切り刻み、宇宙船に乗り異星人の故郷まで殺戮を試みにいく、というラストで締めくくられる。これはまさしく人間の狂気を描いたラストであり、未だ見ぬ宇宙人よりも、人間が一番恐いという事をこのラストで痛感させられた。
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