父親が死ぬシーンの回想が二百回ぐらいある。前半は、この“東京残酷警察”という世界観になれるまで大変だったんですけど、長澤つぐみが出てきたあたりぐらいから完全に入り込めましたかね。とにかく血しぶきメインのパワフルな映画です。
ただやっぱり後半でしょう、この映画は。何故ならこの監督は多分、血を出させたいだけなんですよ。人殺しまくりたいだけなんです。その熱き思いがよく伝わるのが後半で、序盤はなんか、ほぼ無理矢理に悪人を作って、それをスプラッター描写で抹殺しますが、後半はもう悪人や人間ドラマなんか完全に度外視して、「如何にして人を殺すか、如何に血を流すか」という事にしか頭を捻っていない所が、この映画に限っては良いと思います。
でも序盤にも面白いシーンはあります。それは主人公が痴漢されて日本刀で痴漢の手を切り落とすのですが、こんな小学生が考えそうなアイディアを映像化してしまうのは凄い。大量の血しぶきを作った技術部も凄いし、こんなシーンの為に尻を触らせるしいなえいひも相当凄い。
結局は夢がある。監督が映像化したかった下らないアイディアを誠心誠意映像化している。それは素晴らしい事だと僕は思う。だから観客はこの映画を観て「良かったね」と拍手してあげなければいけない。この映画にもっと人間ドラマや特殊メイクをしっかりやれという言葉はもはやナンセンスです。
園子温や清水崇が役者として観れるのも面白い。ちなみに手と足が銃になっているキャラクターは、ロバート・ロドリゲスの“プラネットテラー”の影響かオマージュかパロディかパクリです。
コメントをするには会員登録が必要です