ザ・フライ 主人公に寄り添って見せて欲しかった

たとえば、「『怪人ハエ男』ってどう?ハエになっちゃうの。これちょっとやろうよ!」みたいな話から会議が始まったとするじゃないですか。そのキッカケから果たしてどんなストーリーを切り取ろうとするのかなっていうのが凄く興味深かったんですけど、少なくとも僕がパッと思いつくような感じとはズレていて、おもしろかったです。

でもやっぱり怪人の哀愁みたいなのをもうちょっとやって欲しかったですけどね。別にセリフで「嗚呼、俺は…」みたいなのを語らせる必要とかはないんですけど、人間性喪失の過程をもう少しゆっくり見せても良かったかなあということです。

個人的にはそういう部分をかなり期待してたので、僕にとっては、主人公が中盤、ドーナツ食おうとしてゲボ吐いちゃうんですけど、それが実はハエの出す溶解液だったっていうくだりがピークでした。

「ああ、今の俺のメシの食い方はコレか」っていうのを自覚する過程にもうワンクッション入れて欲しかったですね。

みてくれがどんどんグロテスクに変化していって、その経過を見る女性の姿から哀愁が伝わってくるし、それが映像としては一番効果的な方法なのかも分かりませんけど、僕はもうちょっと主人公に寄り添って見せて欲しかったですね。

キャラ的に「コワイけど、なんかもうよくわからんし受け入れちゃえ!新種だぜ俺はワッヒョーイ!」みたいな部分もあると思うんですけど、それでもたとえばそこをものすごい引いた位置から撮れば結構哀しい感じにできたような気もします。

“あきらめていく”姿がもう少し観たかったです。