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心霊写真 Jホラーを受け継ぐのは日本だけじゃない

邦題こそ「心霊写真」だけれど、タイの大ヒットしたホラー映画。

最初は「タイってどんなホラー映画を作るのか?」という興味本位という若干失礼態度で観始めたが、そこには日本のホラーを上手に踏襲した完璧なホラー映画があった。

友人の結婚式の帰り、主人公でカメラマンのタン(名前)と、その恋人のジェーンは誤って車で轢いてしまう。運転をしていたのはジェーンだが、それにしつこくちょっかいをかけていたのはタン。そして、女性を轢いたというのにその姿はどこにもない。ジェーンはケイサツに届けようというが、なかったことにしようとするタン。

そしてカメラマンであるタンは、あの轢いてしまった女性と似た”もの”が写真に写っているのを見つける。

また、罪の意識にさいなまれるジェーンのもとに、あの女性と似た”もの”が現れ始める……。

怖がらせ方は、日本のホラー、それも近年の「リング」シリーズや「仄暗い水の底から」「着信アリ」など、心霊系のホラー物に似ている。というか、そのものと言っていい。逆に、ハリウッド映画によくある「ドン!バン!ギャー!!」みたいな、音や映像でビックリさせるパターンは少ない。ちゃんと、心の底から怖がらせてくれるのだ。

そして軸となるストーリーだが、これも日本的、というよりは仏教的だ。きちんと遺体を供養しないから祟っているとか、因果応報、悪いことをしたらそれは自分に返ってくる、といったこと。タイは仏教大国なわけで、当然といえば当然だ。

そして、これらは自然に私達に根付いている。何も悪くない登場人物が無慈悲に惨殺されたりするパターンよりは、気持よく観られるはずだ。逆に、そういったパターンが好きな人はあまり興味をそそられないかもしれない。

映画から国の文化を感じられることもまた海外の映画を観る楽しみでもある。文化が違うはずなのに、同じ方向性の映画が受け入れられ、そして逆輸入されるということは、つまりタイと日本は似ている国なのかもしれない。この映画をきっかけに、他のタイ映画を観てみるのもいい。