遊星からの物体X ホラーの名作と言えばコレ!

名作すぎてレビューするのも気が引けるが、若い世代の人は観ていない人も多いのではないかと思い紹介する。

公開は1982年だが、今のCG真っ盛りな映画に劣らない、色褪せない恐怖映像を観ることができる。

舞台はアメリカの南極基地。そこに一匹の犬と、それをヘリで追いかけるノルウェー基地の隊員がやってくる。犬を追いかけまわし、銃を撃ちまくる隊員の行動や態度は異常そのものだ。ノルウェー隊員の異常な態度に、身を守るべく彼を殺してしまうアメリカ隊員たち。そして犬を保護し、一体ノルウェー基地で何があったのか、酷いブリザードの中調査を開始する。

ノルウェー基地で起こったこと、そしてアメリカ基地でこれから起こること。

初見の人は全く予想がつかないだろうし、何度も見ている人も思い起こすだけでぞっとするはずだ。

SFXという言葉はもう死んでしまったが、この映画を観ると美しく目の前に蘇ってくるのを感じられる。

数々のクリーチャーは言ってしまえば実写だし、人形ではあるけど、全くそうとは思えない。本当にそういう生き物を作ってしまったのかと思うぐらいだ。

率直に気持ち悪くて、生理的に受け付けない化け物たちのデザイン、造形、動きまで、一周回って愛おしい。

ここからは、是非びっくりして頂きたいので未見の方は読まないで欲しいが、特にすごいのは最初に「それ」が正体を表すシーンだ。

ゲージの中で本体を表すあのシーン、顏がぱっくりと割れ、中からまた口が見える。粘液のリアルなこと、肉の赤さのおぞましいこと。それなのに目を離せないのは、「一体これはどうやって作ってるんだ!?」と仕掛けを見つけて安心したいからなのだ。そして結果安心できないまま、次々と恐ろしいシーンを見せつけられる。

このシーンが与えた衝撃は凄まじいものだし、いろいろな映画やコミックへの影響からもそれがうかがえる。

また、「一体誰が”それ”になってしまっているのか?」といった疑念が常に晴れない精神的なストレスもなかなかに苦しくていい。心理戦のようなものはあまりないので期待しないほうがいい。

最後になってしまったが、間違えても「遊星からの物体X ファーストコンタクト」を間違えて見てはいけない。

ファーストとか付いているものだからこっちを先に観て、げんなりしてそれっきりという人もいるようだ。これは前述のノルウェー基地での出来事なので注意してほしい。ファンムービーに近いものなので、好きな人は続けて観てもいいが。