REC/レック モキュメンタリー作品でもダントツのおすすめ

「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」から急激に増え、今でも定期的に出る、ハンドカメラで素人がドキュメンタリー風に撮った作品「モキュメンタリー」。

私はその中でもこれがお気に入りだ。

スペイン、夜勤の消防隊員の密着取材をする女性レポーターとカメラマン。彼女のテイク1〜3が無機質に入っていたり、消防隊員とバスケをしたりする日常的なシーンが流れることから、編集が全くされていないことがわかる。つまり、この映像の主にきっと何かがあったのだと予感させてくれる。

退屈な映像から未だ余韻を引きつつ、あるアパートからの通報で消防隊員が出動するシーンとなる。当然彼女たちも一緒にアパートに向かう。緊張感はあまりない。

通報したのはアパートの住人だ。変わり者の老婆の部屋から叫び声が聞こえたというので通報したとのこと。警察もおり、消防隊員と一緒に最上階の老婆がいる部屋へ取材へ向かうレポーター達。そこには様子のおかしい、血まみれの老婆がふらふらと立っていた。

いつものことのように対処する警官に、老婆が突如首筋に噛み付く。

傷は深く、血が止まらない。瀕死の警官をアパートから出そうと1階へ連れて行くが、なぜかドアを開けることが出来ない。

アパートは警察に完全に包囲され、誰一人共出ることができなくなっていた——

まず、大体が「事件に巻き込まれた素人」が撮影した作品が多い中、これはプロのカメラマンが回したことになっているため、他に比べて「ブレ」が比較的少ない。要するに、酔いにくいのだ。

「ブレア〜」や「クローバーフィールド」などは、気持ちが悪くなって途中で2、3回は止めてしまった私だが、これは途中1回のみの休憩で済んだ。つまり全く酔わないわけではないのでご注意を。

そういう意味では、プロのカメラマンの割には画がブレている気がするが……。

私がこの映画が大好きな理由は、最初に出てくる太った老婆が逆行を浴びて黒いシルエットとなっているシーンが、あまりにも不気味すぎるからだ。

ふらふらと揺れ、何を考えているか全くわからないのに、人の形で、しかもそれはどこにでもいそうな太った老婆だ。

アパートの面々も多種多様で面白い。子連れの女性や老夫婦、中国系の家族やインターンの医学生など、それぞれの立場でそれぞれの主張をしてくる。それが終盤の伏線へとつながっていく。

ストーリー終盤、どうして封鎖されているのか、老婆がどうしてああなったのか謎が解けてくるのだが、そのオチは人によって異なるだろう。私はとても大好きだが。