シャイニング 冬のホテルで幽霊出たり狂ったり

私がこの作品で一番怖いと思うのは、やはりジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)がタイプライターで作成した力作「小説」を妻ウェンディ(シェリー・デュバル)が見つけてしまうシーン。「All works and no play makes Jack a dull boy.」という一文をひたすら連打してます。しかもページ毎に改行や段組のアレンジを変えて。今回再見して気づいたんだけど、所々微妙にタイプミスしてるんだね。これがまたリアルに怖いと思った。実は彼の狂気は幽霊に起因するものではなかったのかも、という解釈は原作者のキングには面白くなかったようですが。

元々アル中だったりDVの気があったりと、ホテルに来る前からジャックの狂気の兆候は見受けられるんですよね。だいたい事前に「このホテルで前に惨殺事件あったよ」とか言われたら、まともな神経ならこの仕事降りますよね。ということで、本作は私の中では完全にサイコ・ホラーにカテゴライズされてます。

キューブリック監督はだだっ広い空間の荒涼とした空気をフィルムに収めるのがホントに上手いと思う。ダニーがキコキコ三輪車で走り回るホテルの中とか、ホテルの外にある迷路の空撮とかね。

グロも今となっては控えめですが、妙に神経に障る映像がいくつもありますよね。予告編の血の洪水しかり、双子の幽霊しかり、237号室の女の幽霊しかり。

そして音楽もまた良い感じに不快感を煽る。ガラスや黒板に爪たてて引っかかれるような音がてんこ盛りです。