悪の経典 そのさわやかな笑顔に騙されるな

サイコホラーと言う位置づけでこの作品を観ました。素直な感想を言えば、物足りなさを感じました。サイコと言うからには、もっとじわじわとした感覚が欲しかったのですが、映画という短い時間では、表現しきれなかったのかもしれません。それもあり、後半のスプラッターな部分が、なんだか安っぽく見えてしまいました。

見所としては、海猿で人を救いすぎた反動かどうかは定かではありませんが、あの正義感の強いイメージの伊藤英明が、バリバリに殺人を犯しまくる点でしょうか。しかし、確かに殺した人数でいえばかなり多いのですが、スプラッター的な映像が控えめなので、グロさもあまり感じません。ホラーファンは、ジェイソンやフレディーという、もっとエグい怪物を見慣れています。伊藤英明が、あのさわやかな笑顔で何人殺そうが、ギャップを感じる位で、心に響くものがありません。また、そこに至る過程も、今一つ掘り下げ不足を感じます。それもあって、序章と呼ばれるスピンオフドラマも作ったのでしょうが、それを観ていても微妙です。タイトルから感じるのは、きっともっと深いメッセージがあるのかも知れませんが、残念ながら私にはそこまで理解できませんでした。

そう思うと、この映画は、正義感の強そうに見える教師が殺人鬼に変貌していくという内容が、もしかしたら最大のネタバレ要素なのかも知れなくて、観る人ほとんどがそれを知って観るわけで、それ以上の驚きが出てこないのかなと思います。

全体的な感想は、サイコホラーというより、学園バイオレンスという感じがした映画でした。